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「小次郎つばめ返し」

大河ドラマ 龍馬伝 第2部 第19回 『攘夷決行』

黒船来航も攘夷も開国も明治維新も、全ては終わって通り過ぎた事を今振り返っているワケで、
結果を知っている私たちは、日本中の若者がワッサワッサと沸き返っている様子に興奮しながらも、
一歩退いた外側から全体的に眺めている立場であります。
一方的に武市が愚かかと言えばそうではなく、龍馬に先見の明があったかと言えばそうではなく、
当事者たちは未来を知らずに、誰もが自分の道を正しいと信じて進んでいるだけで
今の私たちもそうであるように、自分の立ち位置を正確に知っている人などいないでしょう。
ひょっとしたら未来の「愚か者」は私たちかもしれません。


無駄だと知りつつも、『タラシ龍馬(※名付け某さん)』渾身の口説きに
胸が熱くなるのを抑えられません。
「容堂公はアンタのことが嫌いなんだ!」
とうとう武市のプライドへの気遣いも捨て、なりふり構わず引き留め説得をする龍馬。
涙も鼻水も出放題、情けないほどかっちょ悪く、かっちょ悪いほど必死。
そんなに助けたいなら、当て身を食らわせて縄で縛って連れ去ってしまえばいいのに。(こら)
前に「武市の仕返し的攘夷」と書きましたが、そんなちっぽけな私怨に命を賭けるハズもなく、
誠にもってスマンことでした。
しかしながら「武市の命がけ」は、とうとう「藩」を超える事は無かったようです。


俳優二人によるセリフの応酬の長丁場。
ともすれば飽きて心が離れるかもしれない危険がありながら、
よく最後まで緊張感を保って惹きつけることができたなと感嘆しました。
龍馬と武市、脚本のト書き以上のセッションがあったと思われます。
長い時間を割いたそのシーンは、日本史的にはどうでもよいことだけど、
こういうところをキッチリと形にしたかったんだなと制作側の信念を見た思いです。
(お陰で高杉はまだ出てきませんが)