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「小次郎つばめ返し」

[オダギリジョー]懲戒免職

オダギリ氏をイメージして書かれたというこのショートストーリーは、
インタビューや第三者からもたらされる、役柄を離れた普段のオダギリ氏周りの空気をよく表していて、
読んだ時点でシーンシーンを想像することが容易であった。
もちろん普段のオダギリ氏を私が知るハズもないが、
具体的な言葉にするのが本当にムツカシイ、オダギリ氏独特の不可解な魅力だったり、
畏れながらも引き寄せられる生徒達と同じく、
時々見せる不器用さにファンが地団駄を踏みつつも、どうしようもなく惹かれてしまうあたりなど・・・だろうか。


ところが、この曖昧で説明の付かないオダギリ空気に溢れたストーリーが映像になったとき、
曖昧さが消え、とても説明的になってしまったような気がする。
主人公の表情のせいだろうか?ストーリーの多くを占める母娘のやりとりのせいだろうか?
普段あまり映画を観ない私のことだから、とんでもなく勘違いかもしれないが、
映像とナレーション、2つの説明で私の想像が入るすき間が無くなり、余韻が楽しめなかった。
ストーリーを最初読んだときに想像したものから一歩飛び出した、予想外の喜びや驚きが感じられなかったのだ。
大失敗のない「予想通り」の落ち着いた映像は安心して見られるが、心が震えることもなく、
脚本家がイメージして膨らませた物語の世界が、脚本家本人の手によってしぼまされた気がして残念だ。
映画の中の足し算と引き算は、こんなにもムツカシイものかとビックリし、
もし機会があれば、同じ脚本で違う監督の足し算と引き算を観てみたいと思った次第である。