大河ドラマ 龍馬伝 第8回 『弥太郎の涙』
「震えがきたがじゃ。」
いやもうホントに震えがきました。
龍馬の震えが幾重にも輪を描きながら静かに広がって弥太郎に伝わり、
弥太郎の震えが私に伝わります。
そして隣で食い入るように見ている旦那の震えがまた私に伝わる。
「震え」って共鳴するのね。
今も昔も変わらず大人気の龍馬、歴史のカリスマヒーローですが、
カリスマは崇拝され、それゆえにワタクシには今ひとつ身近に感じられないんですねえ。
「心が震えたから、体が動き出した」
これなら分かりやすい!
龍馬の行動原理って、実はこんなにシンプルなものだったのかもしれません。
武市半平太がイイ感じで悪相になってまいりました。
話数の順番撮りじゃないと思うんですが、さすが大森さん!
単純バカに見えなくもない龍馬とは反対に、
「日本のため」「国のため」という大儀を幾重にも身に纏って、ついに始動する半平太ですが、
纏った物を一枚一枚剥がしていくと、「自分は下士のために不当な扱いを受けている」という、
実は小さな私怨がそもそもの理由だったりして、小者ぶりをいかんなく発揮しております。
それにしても東洋がどうにかしてくれると思うじゃないですか。
普通そういう流れですよ。
あの鋭い目で龍馬の大きな器と人柄を見抜き、立場を超えて加勢してくれると思っていたら、
簡単に踏みつぶされちゃいました。
「自分は天才だから、何をしても許される!」って!
あまりの意外な言葉にオドロキ、激震が走りました。
やはりシンプルな理由はパワーがあります。
主人公を簡単にヨイショしたり、都合良く進まないところが、『龍馬伝』の面白いところであります。