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「小次郎つばめ返し」

きっと制作者は「仕事」を超えて肩入れしてくれます

田舎印刷所での制作は、「本日の大売り出し!」みたいなスーパーチラシから、パッケージ・ラベルデザイン、
名刺、イベントのポスター、会社案内、ロゴマーク作り…と多岐に渡り、お客様の業種も要望も様々なため、
慣れや経験の蓄積があまり役立たない、毎回新しいチャレンジとなる事が多い。
専門用語が踊る大量の資料を前に「このカタカナは一体何を意味するのか!!」と途方に暮れたり、
逆に何も内容が決まってなく「家族向けでよろしく!」という一言でポスターのラフ案を作ったりと、綱渡り的な作業なのだ。
しかし資料や原稿がちゃんと揃っているとか、そんなことは余り重要ではなく、
最終的にはお客様が、「アピールしたい自社商品やイベントに熱意と愛情を持っているか」が、
制作者に取って大変重要な要素で「よっしゃ!私も何か役立ちたい!」という制作意欲の発動に繋がるのだ。


「何を売ったら良いか提案してくれ。」と言う着物販売会社の社長から言われたが、
こちらは「附下?訪問着?何っだっけ、それ?」状態で、
紬だの友禅だの創作きものだの、奥深い着物の世界にはとんと縁のない素人。
何とか「こうしたい、ああしたい」という要望とか、せめてキモノに対してどう思っているか感じ取ろうとするが、
幾ら質問の内容の角度を変えてしても、30代とおぼしき社長の目の中に変化はなく、
着物に対して熱い情熱も語られず戸惑うワタクシ。
しかし今この会社は、次々と支店を開店させ成長著しいのだ。
社長が席を外した時、女性社員の方に「毎月支店開店準備で大変ですね。」と声をかけると、
「社長はお店を作るのが好きですからね。」と言う言葉に愕然。
そうか、社長は着物が好きなんじゃなくて、店舗数が増える事が好きなのか・・・。
客は、提供者が自分と同じマニア的匂いを持っているか?商品に愛情を持っているか?
イベントを楽しもうとしているか?などを敏感に感じとるものだ。
この会社の定期的な仕事が、1年後には失われているだろうと何となく感じているワタクシだ。