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「小次郎つばめ返し」

[感想]オダギリジョー 第2の故郷フレズノへ帰る<後編> その5

景色が郊外の町並みから家がとぎれとぎれになり、やがて平野が見えてくると
いきなりハンドルをバンバン叩き始めたオダギリ氏。
気持ちの高揚が押さえきれない様子。言葉より先に体が反応してくるんですねえ。
「きた?」
「きたきた・・・」静かに深くつぶやき「きたきたきた!コレー、オラー!!」とついに大きな声。
「あのーそこホラッ!」
フェンスで囲まれた敷地内にアパート群。どうやらここの住人だったようです。
「ただここね、オープナーがいるんだ、入るのに。」
さすがアメリカ。住人以外は容易に侵入できないらしいです。
日本からいきなり来て「懐かしいから」という理由だけで中へ入ることが出来るのか?
「戸が開いてんじゃない?」なんとゲートが開いている!
「入っちゃおうか?」といいつつ車をスルリと中へ侵入させることに成功!ラッキーですよ!


中に入ると相当広いコミュニティなのが分かります。
ひょっとして私の住んでいる村より人口が多いかもしれません。
これまた、たまたま空いていた駐車スペースを指さし
「ここにボクが車を止めてたのよ。ここ!オイルがイッパイもれてる。ボクのオイルですよ。」
一体どんな車に乗ってたんですか・・・。
「ここにこう止めてたんだよ。」
と言いつつ同じように止めてみるオダギリ氏。
留学時代と同じ場所に同じように車を止めて、たちまち記憶が引き戻されたか。
車外に出てあたりを見回すオダギリ氏はカメラの存在を忘れているかのよう。
「どう、帰ってきた感想は?」
「いや、すごいねー。ここなんだけどさあ・・・。」
指さす先には他と同じ型の棟。だけどオダギリ氏にとってはやはり特別なアパートなんでしょう。
「どうしよっかなぁ・・・」整理できない気持ちを持て余し気味にうろうろするオダギリ氏。
「ヤバイ?」とオダギリ氏の心境を心得ているサンチュ君。
「だってここだよ!住んでたんだよー。信じらんないよなぁ・・・。」
アパートをもう一度振り返ってサンチュ君のビデオカメラに向け、
感慨深そうなコメントをするオダギリ氏の目が逆光ながらも潤んでいるように見えます。
「いろんな事あったよねー。」ってサンチュ君!あなたこの頃はまだ知り合って無かったんじゃ・・・。
「うーんここには1年くらい住んでたのかな。ここは一番好きだったからねえ。」
留学2年でどんだけ引っ越してるんですか。
あまり表には出したくなかったといいながら
「まあ嬉しいよ。こんな帰ってこれて。2年3年ぶりで自分もちょっと成長してね・・・」
鼻に掛かった声がますます鼻声に。
「あの時一生懸命ほんとに役者になりたくってさ、毎日毎日部屋でビデオ見てたりしていた自分に対して、
 役者になって夢を実現できた今の自分がここに戻ってこれたってことが・・・・・・・・」
自分の胸をなだめるように大きな手のひらでポンポンとたたくオダギリ氏。
「なんかすごいね・・・・熱い、今・・・・・・・」
途切れ途切れで言葉が繋がらない。
「なんか息するのが・・・ちょっと大変な感じが・・・・・・」
胸のつかえを落とすかのようになおも叩き続けるオダギリ氏。
波紋のようにさわさわと感動が伝わってきて、いやもう見ているこっちも熱くて熱くて胸が詰まりそうです。
ホントにこの感受性の強い人は、今「クールなイケメン」と言われている人だろうか。


「タイミングが合わないと入れなかったしね。呼び寄せたんだよ多分。」
ゲートがたまたま開いていた事といい、当時使用していた駐車スペースがたまたま空いていた事といい、
サンチュ君、ありとあらゆる観光地は全滅でしたが、アンタはオダギリ氏のラッキーマンでしたよ!!
マジで嬉しかったと繰り返すオダギリ氏も「最後に1枚とっとこ。」と言って
アパートを背にピースをしながら自分で写真を撮るころにはもういつものオダギリ氏に戻り少し照れくさそうなのでした。
次は『CSUF』、オダギリ氏が学んだ大学です。もうしばらくおつきあいを。