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「小次郎つばめ返し」

『アリスの棘』 第2話

前回「食べ歩きながら無難に感想を言って時々あざとくフニャと笑えば、
濡れ手に粟のごとく視聴者を鷲づかみ出来るでしょう」などと言ったのは、
絶対出ないし!ってのが前提にあったんですが、
漏れ伝わってるところによると、そのような感じのコーナーにご出演されるとか。
いやもう何がなんだか…
バラエティ出演とか、去年覚えてるのは松田龍平さんと出たピカルくらいのもので、
今までのサイクルから考えると、ここ半月ほどでこなした量は10年分くらいあるかもしれません。
巷に、お茶に間にオダギリジョーが溢れている、そんな非現実的な4月。
しかし表面に出ればでるほど、過剰になればますます分からなくなる不思議な男でございます。


そんなよく分からない男が演じる分からない男、西門優介。
彼は果たして味方なのか敵なのか。
明日美の復讐のブレーキになりそうな西門に
「ああもうオダギリジョー邪魔!!(なぜか役者名)」という明日美ファンの怒りを拾いつつ、
ニヤニヤしているオダギリクラスタでございます。
本望でございましょう!
不思議の国のアリス』に造詣が深い方によると、
出てくるキーワードやアイテムと照らし合わせ、様々に推理できるそうであります。
彼が助けるのは「復讐」なのか「アリス自身」なのか「自分」なのか?
いや西門だけではなく、このドラマでは誰もが何かを含んでいます。
千原(田中直樹)の様子を冷静に見つめる明日美、
…を鋭く見つめる西門…を見て何かに気付く有馬教授(國村隼)、
感情のつけいる隙のない盤台教授(岩城滉一)、
体温の低そうな登場人物たちが真冬の空気のようにピシリと画面を引き締めて、
さらに画面の温度を下げる様子は、薄氷の上を歩くようで実にスリリング。
さて残っている彼らのカードには何が描いてあるのか。


何度も同じシーンを繰り返し次第にスピードあげて物語は焦点へと突き進みます。
スピードと緊張感が最高潮に達したとき、一瞬の静寂のあとにやってくる奈落。
とてつもない疲労感と開放感であります。
医師を辞め、田舎に戻ったという千原は、
視野が狭くなる持病のために、大きな医療事故を起こすか裁判になるか、
どのみち医師としての将来は見込めなかったでしょう。
明日美の送ったカードは千原の患者たちの命と未来を救ったと同時に
結果、千原の家族をも護ったのかもしれません。