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「小次郎つばめ返し」

どんな時も例外なく小次郎モード発動

最後に故郷の町が一望できる墓所で焼香したあと、厳かに法要は終了。
後はそこから歩いて数分の寿司和食の店に用意された〆の「おとき」(※仏事法会のときに出す食事)を囲んで、
和やかに会食するだけでありました。
ところが一足先に住職と店へ向かった弟からケータイに電話があったのであります。
「店に誰もいない!」


慌てて店へ向かうと、小料理屋の玄関で立ち尽くす黒礼服の集団。
戸は開くものの、こざっぱりと整頓された誰も居ない店内を見て、瞬時に事態を理解したのでありました。
しかし配達から戻った店主夫妻の今にも心臓発作を起こしそうな青い顔を見ると、
日にちを間違った彼らを誰も責めることは出来なかったのであります。
時間は既に12時20分。
「・・・・冷蔵庫にある物でなんとか・・・」とようやく血の通い始めた店主がつぶやいた途端、
誰からともなく長テーブルをつなぎ合わせて座布団、割り箸、おしぼり、ガラスコップをセッティング。
長男夫婦、次男夫婦、小姑のワタクシが黒礼服のままで飲み物を配膳し、
先に出来た小鉢で来賓をもてなしつつ、出来上がった料理を次々と運び、空の皿を下げるという、
総力を挙げて小料理店をバックアップしはじめたのであります。
また正気に戻った店主の働きは見事でありました。
何も用意されていない状態から正味1時間半で
「酢味噌和え→白和え→刺身の盛り合わせ→天ぷら→にぎり寿司→茶碗蒸し→松茸の吸い物→メロンと栗の渋皮煮」と用意。
いや、むしろ何も用意さていなかったからこそ、出来たての和食コース料理を食べられるという幸運を授かったのであります。


滅多にないアクシデントは不運だけど、結果美味しい料理が食べられて幸運という、
またしてもプラスマイナスゼロなワタクシの人生。
得なんだか損なんだか分からないけど、小次郎実家の者が力をあわせてやりきった父の法要は、
可笑しくも楽しい思い出となったのであります。