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「小次郎つばめ返し」

大河ドラマ 龍馬伝 第2部 第23回 『池田屋に走れ』

新選組の反対側から池田屋事件を見たのは初めてなので、
私が知っている池田屋事件と全く別の事件のように感じてビックリ。
反対側というより、全くの第三者の市民としてかな。
同じものを内側から見るのと外側から見るのではこんなに違って見えるんですねえ。
「歳さんの五寸釘」も「刀の柄をペロリ」も「待たせたな」も「平助重傷」もなく、
あるのは無残に斬り殺された死体が重なる凄惨な現場、という結果のみ。
駆けつけた龍馬や町民たちのように一体何が起こったのか理解できず、
列を組んで歩く血だらけの不気味な男達を遠巻きに見るしかありませんでした。
これは本当に怖い。
どちらも彼らなりの理由があり、正しいと信じて行動しているわけで、
歴史というのは平面じゃないんだなと改めて思うのであります。
しかし、そんな血なまぐさく不安な世の中にあっても、人々は逞しく暮らし、結婚し、新しい命が生まれる。
どんな時代にも喜びや笑い、希望はあるものであります。


訓練所を飛び出した亀弥太を連れ戻すという龍馬に、
「本人が考え決断したことだから」
いいじゃないかと醒めた反応の訓練生たち。
これは当然の反応であります。
多分、今でもこういう光景は日常茶飯事であり、
大抵の場合、本人の自由意志と自己責任ということになるのであります。
しかし、それは本当に当人のことを考えて言っているワケではなく、
心配はしているけれど、最後まで関わるのが面倒なだけなんですねえ。
「望んだことだから思い残すことはなかろう」という理由を付けて、
自分の気持ちを軽くしているだけのような気がします。
人の人生に踏み込んでお節介を焼く龍馬を面倒なヤツ、暑苦しいヤツと思いつつ、
訓練生達と同じように眩しい気持ちで眺めるのであります。


そんな自分と他人の距離を測れない龍馬を毛嫌いしている・・・
ように見える「お金第一、自分第一主義」の弥太郎が、
どうでも良いハズの武市半平太の妻、冨にお節介を焼く。
暑苦しいヤツになっていることに笑い、ちょっとグッときた回でありました。