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「小次郎つばめ返し」

日本が貧しいのは心だ

専務の従兄弟が母親と二人で、住み慣れた大阪を離れ山口にやってきたのは、
母親がどうしても生まれ故郷で暮らしたいと言い出したかららしい。
すでに結婚して家を建てている長男夫婦の代わりに、
独身の次男さんが母親の保護者としてやってきたのだ。
認知症の始まった母親の介護と自分の仕事と、
傍目にもよく倒れないなと思うくらいの献身ぶりであったが、
介護の事で長男さん夫婦と次男さんの間に諍いがあるという話も伝わってきた。


その母親が最近入院して、大阪から長男夫婦が山口に来たときに、
病室で次男さんが「こんな事になる前に美容院へ行っておけば良かったね。」
と母親の頭をポンポンと軽く撫でながら言うのを長男の嫁さんがたまたま見かけ、
「ゾッとした。」と言ったそうだ。
ザコン男と母親の気味悪いシーンでもみた気分なのだろう。
なんと下世話で浅はかな。


だんだんと身なりに構わなくなり、目の光は濁り、表情も乏しくなってくる親に、
オシャレをして生きていることを楽しんで欲しいと思ったり、
子どもに戻り自分を頼り切る親を愛しいと思う次男さんの気持ちがよくわかるが、
人によってこんなにも感じ方が違うのかとショックを受けると同時に、
次男さんの孤立した立場を想像してなんともやりきれない気分になった。
酸いも甘いも噛み分けたハズの年代から発せられた言葉に「ゾッとした」私であった。