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「小次郎つばめ返し」

[オダギリジョー]「東京タワー〜オカンとボクと、時々、オトン」

上映中、おそらく多くの人が誰かと誰かを重ね合わせていたんじゃないかと思いますが、
私も亡くなった父を思い出していました。
亡くなってしばらく、父が居なくなったと言う事にあまりに現実感が無いため、
ひょっとしたら最初から居なかったのかもしれない・・・などとおかしな事を考え、
夢か現か分からない状態で
「まるで父の人生の映画でも見ていたようだな。」と思ったことを思い出しました。
よく人生の終焉と舞台の幕引きをなぞる人がいますが、本当にその通りだと思います。
父の人生は70年。
でも幕が下りてしまえば、実感としては丁度この映画と同じくらいの時間に感じます。
父の人生も何でもない日常の積み重ねで、思い出すのもただ立っている姿だったり、笑っている顔だったり。
そんな父の舞台なり映画の観客は、家族や友人などごく限られた少数の人だけですけど。


東京タワーは、“中川栄子”という女性の、何でもない日常を集めた人生を
多くの見知らぬ観客と一緒に見たという感じでした。
“創意”“オリジナリティ”“芸術”“技術”映画にはいろんな要素があって、その視点から言えば、
これは果たして映画と言えるのだろうか?とか映画とはこうあるべきだ、とかあるのでしょうが、
私はその辺り、無知なため正直よく分かりません。
けれどどこからともなく涙がやってきて止まらず、
映画を見終わった時、私は“中川栄子”という人の人生の幕引きに、
父の時と同じように涙で腫れた顔で大きな拍手を送ったのでありました。
ミーハー的感想はまた後日に。