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「小次郎つばめ返し」

一番の薬

義父はこの頃ますます耳が遠くなり、耳に口を付けて怒鳴っても聞こえないほどだ。
なのに何か用事をしているときに限って遠くから私を呼ぶのだ。
「今日は(娘の)クラブはあるんか?」
今朝は風邪を引っ張ってて大きな声を出す元気もない。
いないフリをして答えずにいると、
「カズヒコ(旦那)は仕事はないのか?」
私の返事を待たず質問するが、どうせここから答えても聞こえないのだ。
いつもは「いないのか・・・」とひとりごちて諦めてくれるが、
今日は何度も大きな声で呼びかけてくる。
仕方なく用事の手を止め義父に近寄ると、
「土曜日ですから。」
当たり前だといわんばかりにちょっとイラついて答えてしまった。
「じゃあ、今日は用事を何もせずゆっくり休みんさい。」
と私の手にリポビタンを渡してくれたのである。