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「小次郎つばめ返し」

[感想]シネマホリック オダギリジョーインタビュー

ものすごく長くなってしまったんですけど切るのもなんなので、そのまま載せます。
文字校正全然やってないので、おかしなところがあっても見逃してください。
キネマ旬報 助演男優賞受賞」をうけての単独インタビューです。
インタビュアーはフジテレビアナウンサーの塩原恒夫さん。
向かい合ってオダギリ氏、ソファーにゆったりと腰を掛けています。
授章式と同じ半モヒ、黒いハット、黒い半袖手袋といういでたち。


まず受賞の感想を聞かれ、「そぉーですねえ・・・」と言葉を探しつつ
「正直なところ・・・・あの・・・・まぁ、流行モン(自分が)ですから・・・。」
クックックと聞こえるアナの笑い声。
「そういう意味で頂けたんだろうな・・・みたいな。そういう気の方が大きいですね。」
幾分とまどった顔のオダギリ氏。
インタビュアーの予想していた答えと違っていたのか「あれ?」とちょっと拍子抜けのアナウンサーの声。
『助演男優賞』というものに対しては「いや嬉しいですね。」と案外素直なお言葉。
それを自分がもらって良いのかどうかということに戸惑っているのか。
「もともと助演の方が興味が沸くタイプなんで。主演はやっぱりあの・・・・重いんですよね、
 その・・・・荷を任されるには・・・。」
アナウンサーのハハハというこらえるような笑い声が聞こえてきます。
「それでいて主演は皆さんの気持ちが向かう的なんで、そんなに芝居で遊ぶこともできないですし、
何か・・・・・あの・・・・見ていただく方が気持ちよく普通に感じられる事も主演では考えたいんです
けども・・・・。助演だと結構そことは別の楽しみが生まれてくるんで、
ボクは助演の方が好きなんですよ。」
助演では別の楽しみがある・・・というあたりには感心しちゃいましたねー。
私の勝手な想像では主演の『普通に気持ちよく、アクシデントの無い芝居』に興味が沸かないのかなと
思っているのですが、「主演」を否定せずうまく自分の好みを主張しとります。
この答えを受け、『血と骨』では存分に遊び楽しむことができたかどうかという質問に
「そぉーですねえ、あの・・・共演はたけしさんだし、監督は崔さんだし、
あの・・・・遊ぶと言うよりはむしろ、出来る限りの事をやらないと太刀打ちできない2人なんで、
遊ぼっかなぁという所は監督と相談して、結局崔さんのさじ加減でうまくバランスをとって頂いた
結果だと思いますね。」
その崔監督からは役について『たけしさん演じる金俊平に対する恨み』と『正雄に対する愛情』、
この2つがあれば何でもいいという簡潔なアドバイスをもらったという。


話は刺青の事に。
他のインタビューでも時々聞いたことのある「かすみ先生」の話になり、初めは4時間くらいだったのに
日に日に長くなり、最終的に6時間近くかかっていたというオダギリ氏。
「それは、オダギリさんが気に入っちゃって、付け足したりとか・・・」とアナ。
「かすみ先生の話がドンドン増えていったんですかね。それで話しメインになっちゃったんでしょうね。」
目を細めて可笑しそうに話すオダギリ氏にクククと笑いっぱなしの塩原アナ。
「きれいに描いてもらって写真にとりましたねえ。気に入ったんですけどなかなか落ちないんですよ逆に。
お風呂に入っても色は落ちるんですけど周りの線が落ちないんですよ。」
説明するオダギリ氏の手が動く動く。半袖の黒手袋から伸びた指の動きがとにかくきれいなんですよー!
「それはやはりプライベートな意味では困った出来事っていうんですか・・・?」
おおっ!ここはツッコミどころですよ!
ワイドショーのレポーターなんかだとここからの展開がすごいことになりますよ多分。
「まあでも別に背中見せることもないですからねえ。」
すぐさま『困ったできごと』から話が発展しないように(かどうかは知りませんが)否定するオダギリ氏。
ダメじゃん!!!塩原アナ!!そんな答えで矛先をおさめちゃ!
「むしろちょっとTシャツからちょこっと出てる具合が格好良かったりしましたね。」
自分の肩を抱くようにして反対側の袖口からタトゥーがのぞいている様子を説明するオダギリ氏。
いやーだからもう!そんなに色っぽくタトゥーをなぞる仕草をしなくていいんですよ!
(いや、していいです)


「大変なシーンの連続だったと思うんですが。」
「そぉーですねえ、台本読んで一番大変そうだと思ったのが雨の乱闘シーンなんで。
それも台本に書かれてあるのは『水の流れた溝に顔を沈められる』とか
『かまぼこ工場のガラ入れに顔を沈められる』とか『木箱で殴られる』とかそういう描写が
文字で書いてあると台本を読んだ時点であきらめが入ったんですよ。相当ヒドイ事になるって・・・・。」
話す内容とは反対に声のトーンは優しくて心地良いです。
「だから最初あきらめから入ったのと同時にたけしさんと本気のぶつかり合いをしなきゃ話しにならないので
自分の中でもテンション高くなってるじゃないですか。だから実際大変だったんですけど予想よりはすんなり
いけた気はしましたね。」
撮影時の様子を思い出しながら自分のペースでゆっくり答えるオダギリ氏。
「やってるときは、もう演技だってことを忘れてたけしさん本当にケンカっていう状態だったんですか?」
「そぉーですねえ」がオダギリ氏の答えるとっかかりの決まり文句のようです。
「まあ、ダンスみたいなもので動きは決まってるものなんで・・・。」
おおーーー!まるでダンスに自信があるみたいじゃないですか。
「やっぱり頭の中でそれをテキストとして追う部分もあったり、相手は日本を代表するたけしさんだぞっていう引く部分もあったり、
いろんなことがまぜこぜになってるんですけど、本当にぶつかる以外にボクが出来ることはないんで、ぶつかるしかなかったですね。」
その時の気持ちを言葉を探しつつ答えるオダギリ氏の手が口より雄弁に語っております。
何度も言いますが本当に手の動きが美しいんですよ。ひらひらとよく動く手ばかり目で追っちゃいます。
「やってるときはイタイし寒いし大変だし、辛いことばっかりなんですけど崔監督の切り取り方で
あんなに迫力のある痛々しいシーンに作り上げてもらえたって事がやっぱ凄いなあと思いました。」


「これからオダギリジョーさん個人としてはどういった役に、俳優になっていければなと思ってらっしゃいますか?」
以前爆笑大問題でも聞かれたことがありましたねえ。
「特にないんですけど・・・・・、自分が自分をおもしろいと思えればそれでいいんですよ、なんとなく。
見ていただく方にとかファンの方にとか、あまり相手のためにやっている意識はないんで自分が面白いと思える役で
面白いと思える作品をずっとやり続ければ幸せですね。」
うん、これも昔から一貫してますねぇ。
何かに少しでも媚びる気持ちが湧けば演技にもウソが出るってことでしょうか。
演技に対して澄んだ目で真摯に答えるオダギリ氏であれば、もういいっす。
あれだーこれだーと望みません。(いやしていただければそれはそれで嬉しいですけど)
うんうんと自分で確かめるように深くうなずくオダギリ氏。
「欲が少ないんでそんなに面白い言葉出ないですねえ。」
と少しだけアナウンサーに気遣いを見せるオダギリ氏。


「俳優オダギリジョーにとって映画とはどういうものなんでしょう?」
うーーーーん・・・・・と困りつつ
「普段から芝居とはとか映画とはとか芸術とは?とかしか考えてないんで、時期によって答えも違いますし、
日によって答えが違うと思うんですけど・・・・・。」
うつむいてなんとか答えを一生懸命探そうとしているオダギリ氏。
「なんか・・・・・・自分が・・・・・映画とは自分・・・みたいなものになれれば嬉しいですね、結果的に。」
それがどうい意味なのか私には分かりませんが、
最後に顔を上げてはっきり言ったオダギリ氏には明確に分かっているんでしょう。
これからのオダギリ氏を見つつ、じっくり考えて行きたいと思います。


インタビュー後、視聴者へのメッセージが思いっきりカンペ読みで、
さっきのインタビューとのテンションの違いに笑わせてもらいました。
日本映画専門チャンネルで『オダギリジョー特集』とかつくってもらえるように頑張りたいですね。」
からかい気味にニヤリと笑って言った後
「良質な映画を見て頂けるようにボクも何かできることがあればやっていきたいと思っています。」
と言ったオダギリ氏のちょっとマジな顔が印象的でした。


貴重な映像を見せていただき、本当にありがとうございました!!