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「小次郎つばめ返し」

『アリスの棘』 第8話 

西門は明日美に会う前からいくつかの疑問を抱いていた。
妹の突然の死に対するぬぐえない疑念、小山内医師の事件のこと、
新聞記者として取材をしつつ、15年間独自に調べていたのじゃないかと。
しかし門の向こうに入れない自分は、グルグルと外壁を歩き回るだけで
内部をうかがい知ることができず、ジリジリと時を過ごしていたと思われます。
そこへ明日美が医者として門の中へ堂々と入っていった、
彼女に協力して真実を浮かび上がらせることは、小山内医師への謝罪になると同時に、
西門自身にとっても内部の情報を知る又とない機会だったと思います。
記者として情報を手に入れられる旨味も期待したかもしれません。
時々見せる黒い笑みや、やや上滑りな優しい言葉かけはそんな風に見えます。
明日美と協力していくうちに自分の中で点と点で散在していた疑念がドンドンと結ばれていき、
来週はついに小山内医師と妹の死がクリアな一本のラインで結ばれるようです。
間違いなく15年前に有馬の娘に移植された腎臓は西門の妹のものでしょう。
計画的に妹を死に追いやった有馬。
「私には時間がないの!」と言っていた明日美の時限装置は止まりましたが、
今度は西門のスイッチが押されてしまったようです。



盤台悠真の死因は直接的には大量出血。
小山内医師の亡くなった原因と同じで、
そのシーンは私にデジャブを起こさせました。
今まで標的になった相手は、15年前に本人がしたことのブーメランになっています。
有馬教授への復讐はひょっとして娘の臓器を奪われることとか。
救われなかった娘の心臓が健太への心臓移植に繋がるかもしれません。



明日美への裏切りとは何だろうとつれづれ。
「あいつらと同じになること」をやめた明日美への裏切りとは、
敵に寝返ることではないと思います。
すると
他人の命を危険にさらすことか、
明日美が護ろうとしているものを奪うことか、
明日美の信頼を踏みにじるものか。
「全部終わったら明日美ちゃんは自分の幸せを探すんだ」
と言っていることから、明日美を道連れにすることでは無さそうですが、
15年前に西門が明日美に放った言葉「下を向いて生きてろ」、
もしブーメランで西門に帰って来るなら、いつの間にか彼を支えとしている明日美にとっては
大きな打撃と裏切りになるでしょう。