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「小次郎つばめ返し」

「ゆれる」その2

映画館での鑑賞と合わせて3回目。
ひょっとしたら稔は最初から最後まで『本当のこと』しか言ってないのではないか?
「初めからおまえは人を信じてなんかいない。」
という稔の言葉通り、ずっと無意識に猛は稔を疑っていたのだろう。
「故意に突き落としたのかもしれない。」
と疑っている事にも気付かず、
「自分が事件のキッカケになっているかもしれない。」
と思う心が兄を庇わせ、
しかし、ぬぐ切れない疑いが稔の言葉や表情を一つ一つ裏の意味を持つものに結びつけてしまう。
稔のあの粘り着くような視線も、空々しいハシャギっぷりも、
猛の兄への疑いから意味を含んで見えただけなのかもしれない。
しかし猛は自分が兄を信じているからこそ助けようとしていると思い込んでいる。
本当に稔の言うとおり最初から猛は稔を信じていなかったのだ。


ひょっとしたらこの映画は最初から最後まで猛の見た一方的な風景ではなかったか?
だとしたら私も気付かないうちに猛の目線で、稔を疑うことを前提に事件の一部始終を見ていたことになる。
猛は私。
客観的に観ているようでいて、私も初めから稔を信じてなかったのだ。