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「小次郎つばめ返し」

重版出来! 第9話

「彼らの上に幸運を 努力と苦しみに見合うだけの成功を」五百旗頭敬
いつもより高めの温かく誠実な言葉。

http://www.tbs.co.jp/juhan-shuttai/story/ep9.html

発した人の内側から出てきた言葉だと感じたとき、
ハッと息を詰めるほどに心を揺さぶられます。

中田伯(永山絢斗)がイメージを形に出来ず藻掻いているシーンに被った言葉。
けれど五百旗頭さん(オダギリジョー)の言葉は、
中田伯だけに向けられたものではなく、
年齢による身体の変化に気付かず苦しんだ三蔵山先生(小日向文世)、
読者と自分との感覚のギャップに孤独感を強めたメロンヌ先生(要潤)、
自分と向き合って答えを出し別の道を歩き始めた沼さん(ムロツヨシ)、
本来の夢と自分を見失って沈みかけた新人漫画家(高月彩良)、
彼らを支える編集者や営業部。
五百旗頭さんが相手のことを思って自ら手を離した人たち、
この言葉はそんな人たちに向けられた、
五百旗頭さんの願いであり祈りなのでしょう。

しかし大切な人たちに伝わってなかった。
いやひょっとして伝わっていたかもしれないけど、
それでも止められない恋愛のように、
五百旗頭さんに我が侭に引き留めて欲しかった。
ヒッチポッチの井上先生は今でも五百旗頭さんと組んでやれていたらと
ifの今に未練があるのでしょう。

「正直自分のやりたかった事かと言えば違う。
 でも自分でも描けるとは思っていなかった物が描けている」高畑一寸
そんな風に理想と違う今の自分を肯定した言葉を聞いたことが無かった。
「生きてて良かった生まれてきて良かった」中田伯
文字にすればベタすぎる言葉も
中田伯の過酷な過去を十分に想像させる。
五百旗頭敬、高畑一寸、中田伯という人から真に出た言葉だと思わせる説得力。
ドラマがスタートしてわずか9回。
脚本の積み重ねの妙にシミジミと感じ入るのであります。

TLで絶賛されている告白シーンの刻々と変わりゆく少年のような表情も
日本の四季の移り変わりのように趣がありますが、
三蔵山先生から中田伯の幼少時代の話しを聞く五百旗頭さんの、
衝撃で少しつりあがった目、固まった表情にもやられました。

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せん‐い【遷移】
 1 移り変わること。移り変わり。
 2 一定の地域の植物群落が、それ自身の作り出す環境の推移によって
  他の種類へと交代し、最終的には安定した極相へと変化していくこと。
 3 量子力学で、ある定常状態から、ある確率で他の定常状態へ移ること。
  その際にエネルギーの授受が起こり、光子などの粒子を放出または吸収する。転移。

きょく‐そう〔‐サウ〕【極相】
生物群集、特に植物群落が、遷移の過程を経て、その地域の環境に適合する、
長期にわたって安定な構成をもつ群集に到達したときの状態。クライマックス。安定期。