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「小次郎つばめ返し」

東映特撮公式配信記念『EPISODE48 空我』

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振り向く五代の表情がスローで見えた時、
稲妻が突然落ちてきたような衝撃を受けたのでした。

まさに一年間が走馬燈
いろんな五代の顔が瞬時に頭の中を走り抜けました。
とぼけた表情や、のんびりとした口調、ふわふわとした空気、笑顔、
その下でいつもこんな表情だったのかと、
視聴者全員が感覚的に理解した瞬間だったろうと思います。
いや分かっているつもりではあったんですが、
笑顔の20話を境に、表情の固まる瞬間もちょくちょく出てきて、
ついにコントロールを失った35話。
しかしそれ以降の変わらない「大丈夫」に、
五代の中で乗り越えてきたとばかり思ってました。
本当は全然大丈夫じゃなかった。
一年間、自分が五代の表面だけを見ていた事を最後に気付いたのであります。

みのりと交わす視線、桜子さんとの間に流れるもの、一条さんとの約束、
オダギリ氏の「もうそこにいるだけでよかった」という、
一年間で築き上がったウソのない関係性から、
セリフ以上に溢れるお互いの感情が画面から流れ出してきて、
私の心はもうヒタヒタ状態。
「撃つならここを狙って」から、まさかの「見ててください、俺の変身」で涙腺決壊。
発信者の意図が透けない五代や一条さんたちがいる世界。
この回の受け止められない程の緊張感と充足感は、
ひょっとしたら制作者の計算外だったかもしれないと思うのであります。

バルバ人間体を背中打ちする一条さんの壮絶な表情。
かっこいいバトルやアクションとは言い難い、素手による生身の殺し合い。
「リントも我々と均しくなったな」
ただただ茫然と見ているだけで、拡がるのは悲しみ。
最後は正義が勝った!と到底思えないのでありました。