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「小次郎つばめ返し」

東映特撮公式配信記念『EPISODE47 決意』

ガドルを倒した黒く美しいアメイジングマイティが、
予告では雨の中で踏みにじられている。
1週間ジリジリと待って本編の冒頭。
暗くぼやけた画面、不穏なBGM、炎の中逃げ惑う人々、笑うダグバ、
何より今までに無いほど苦痛に満ちた五代の呻き。
訪れた静寂の中で五代の名を呼ぶ声。
立ち上がる黒いシルエット。
何が起こっているのか理解出来なかったのであります。

画面が切り替わったあとビートチェイサーに乗る五代を見て、
ああ、さっきの映像はこれから起こりうるイメージだったのかと思ったけど、
五代の目元の影は深い。
被害者の名前を読みあげるニュースや新聞記事、会話の内容などで
情報はそちこちに埋め込まれていたのに
「俺、そのまま冒険に出ようと思ってます。」
この言葉でやっと事態を飲み込めました。

4号の敗北は社会全体に暗い影を落とし、
子どもにさえ伝わる不安と絶望感が漂います。
最初は警戒され、時には敵と見なされた4号(クウガ)の存在は、
いつの間にか人々の間で平穏な日々を取り戻すための
希望となっていたようです。

決意を伝え歩く五代の心中は、
死を覚悟しての別れ、感謝の挨拶なのか、
冒険に出ると伝えることで相手の心の負担を軽くしようとしたのか、
自分を忘れないで欲しいのか、
(五代の性格的になさそうだけど、だからこそこれはこれでグッと来る)
見返す度に五代の表情は違って見えます。
途中何度も立ち止まって雨の中に佇み、
また重い身体をバイクに乗せる様子は、
揺らぐ決意を確かにしようとしている様で、
そこには自分自身の中の恐怖や不安、悲しみ、怒り、
逃れたい気持ちと受け止めなければという逡巡する思い、
人としての苦悶が見て取れるのであります。

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