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「小次郎つばめ返し」

東映特撮公式配信記念『EPISODE2 変身』

クウガファンに好きな回は?と問えば、1位争いに必ず出てくる第2話。
物語の背骨となるものがこの回で示され、これ以後最後まで貫かれます。

ファミレスで桜子さんと話をしつつ、テーブルの塩を手にとってなめてみたり、
自分のコップではなく、桜子さんのコップの水を飲んだり、
一条さんに外へ呼び出され、口の周りのカレーを吹きながら出てきたり、
物語の世界でノビノビ生き生きと「存在する五代雄介」。
それまで見ていたドラマでは(ジャンル関係なく)誰かがセリフを言っている間、
画面の中の登場人物がセリフを言っている人物を注視していたり、次に繋がる動きをしていたりして、
ストーリーにとって意味のあることだけが写し出されていました。
指示されたものではなく、五代としてその場で出てきた動作だと思いますが、
一見筋とは関係の無いこういう細かな動きが、
桜子さんとの関係や、五代という人間の癖、印象を肉付けしていきました。
ドラマの中での人物の在り方が、実に新鮮にそして自然に感じたのであります。


「はい!変身して闘いましたっ!d(^-^)」
(;゚ Д゚)

驚きで言葉に詰まる一条さん…と一緒に固まる視聴者。
ばばばばばれていいの???
こういうものはニヒルで影のある主人公が隠し通すものだと思い込んでいたワタクシは、
軟弱っぽいあんちゃんがファミレスの駐車場の立ち話で明るく宣言した事に
衝撃を受けたのであります。
事の重大さを認識せずに気楽に構え(ていたように感じた)
「ダイジョーブですよ、大丈夫!d(^-^)」と呑気に微笑むあんちゃん。
何なんだ、このへらへらした変なヤツは!
五代の「大丈夫」が、相手に対する誓いであり約束であると気付くには、
まだ一条さん同様、視聴者も五代と信頼関係を築いてなかったので、
全国の視聴者と一条さんの五代に対する印象がこの時完全同期したと思われます。
これから五代に対する気持ちの変化を、一条さんと一緒に味わうことになります。


クウガは基本的に事件の報告以外、心情を説明するセリフがほとんど無いような気がします。
五代が決意の変身するときもまた無言でした。
湖畔のように静かな瞳と固く結んだ口元、ユラユラと燃える炎、
それだけなのに、どんなに長いセリフよりも饒舌に
五代の覚悟と決意を訴えかけてくるのであります。


矛盾や不自然さのないストーリーといいつつも、
あんなごついライフル銃を持ち出して単独行動する一条さんに首を傾げる方もいっらしゃると思いますが、
あれはスーパー刑事一条さんにとっては通常運転、自然な行動ですので。
別の意味で伝説のラストシーン、その時は別段何も感じなかったワタクシの心は、
五代の瞳同様、湖水のように澄んでいたと思われます。