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「小次郎つばめ返し」

東映特撮公式配信記念『EPISODE43 現実』

変身→即解除でバトルの無い、
ヒーロー番組としては珍しい回かもしれませんが、
1話1話が起承転結のある独立したストーリーというより、
最初から綿々と繋がっている大きな流れの中のエピソードなので、
この回が特にイレギュラーとは思いませんでした。

何度見返しても見落としに気付くものであります。
今回は実加ちゃん貝殻のネックレスを
犯人が拾って渡した事に気付きました。(つかなぜ今頃!)
実加ちゃんにとっては形見のネックレスを拾ってくれた人を
目の前で一条さんが銃を使い、力尽くで抑えつけている。
直前の柔和な微笑を含んだ目が、殺気を帯びているのを見て、
混乱し怖れて強ばっている実加ちゃん。
その表情が本当に素晴らしい。

時間や場所の表示、ストーリーがとてもリアルだと言われるクウガ
私がリアルだと感じるのは、設定の細かさよりも、
どうしていいか分からず立ち尽くす一条さん、
実加ちゃんと一条さんの間に張り詰めた気まずさ感じて戸惑う五代など
普通のドラマでは切り取られる「余白」にあります。

恐くてやな一条さんに戸惑う実加ちゃん。
「でもホントの一条さんだよ」
ここで「一条さんは正しい」などと擁護することは決してしません。
「もうじき未確認生命体は居なくなりますか?」と問う実加ちゃんに
いなくなると言わず、力を尽くすと言った一条さんを思い出します。
例え相手が子どもでも、誤魔化したり希望的観測で覆ったりせずに
真正面から本当の事を伝えるのは、相手に対する誠意であり、
自分の発した言葉は「約束」なのでしょう。
一条さんと五代、根幹がとても近い二人だと言う事が分かります。

「五代がたびたび保育園にいくのは、子どもたちの笑顔を見て、
自分のやっていることが正しいと確認するためじゃないか」
というコメントを以前読んで、なるほどなぁ!と思った事がありました。
子どもたちのため+自分の気持ちを保つためという事を思えば、
五代がいかにギリギリの精神状態にあったかが想像され、
あのほんわかシーンにも胸が痛くなるのであります。