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「小次郎つばめ返し」

東映特撮公式配信記念『EPISODE35 愛憎』

揺らぐ空気の中に茫然と佇む五代。
太陽のように温かく確かだった「五代雄介」という存在が
幻だったのかと思うほどに儚く、
ゆらゆらと輪郭線が滲んで、今にも崩れて無くなりそうです。

それから一週間、ワタクシの悶絶、混沌具合といったら、
親友に長い長いメールを送りつけ、
え…見てないからよくわかんない…と引かれ、
ちょっとまてワタシ、これはフィクションだ
自らに言い聞かせたくらいでありました。

「ヒーローは間違いなく正しい」が大前提。
同じ力でもヒーローが使えば「正しい攻撃」、敵が使えば「愚かな暴力」。
敵に与える攻撃は、正しくない行いをした者への罰で、
子どもの頃に見ていたヒーローたちが敵を倒した時は、
ざまあみろ的にスカッとしたものであります。
しかし叫びつつ殴り続けるクウガの姿は、徐々に敵のグロンギと重なり、
後に残ったのは恐ろしさと虚しさだけでした。
クウガという作品において、相手をやっつけるということは、
互いに殺し合いであると初めて実感したのであります。

時間や日にち、武器、理論、人物設定など徹底的にリアルに拘り
過去のヒーロー番組のお約束を一度壊すことで始まったクウガ
一番に壊したのは、ヒーローが使う力は全て正しいという、
今まで疑問さえ抱かなかった、私たちの思い込みだったような気がします。