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「小次郎つばめ返し」

『アリスの棘』 最終回

自分の罪状を並べ、心情を告白し、命乞いや、自分を庇ってのことではなく、
明日美のために心から謝罪をする水野。
まるで教会で行われた裁判のようでした。
法規に則ったものではなく、明日美の心一つで決まる判決。
健太の命を救うために動いた明日美の気持ちが、
最後はそこに至るだろうとは感じていましたが、
明日美の葛藤や逡巡、最後に絞り出す「もうだれも傷つけたくない」という言葉が、
説得力を持って真っ直ぐに伝わります。
視聴者を驚かす大どんでん返しは無かったかもしれないけれど、
個人的にはドラマは奇をてらうばかりじゃないなと思います。
こういう役者同士のキャッチボール…というより、
役者がその世界を生きていくうちに、本人か?と錯覚してしまうほどに人物と同化していき、
人物の関係性や言葉も本物になっていく様子を見られるのもドラマならではじゃないかと思います。
その世界が今もどこかで続いているのに、もう見られないという寂しさは盛大につきまといますが。


赦しを仲介するのは西門優介。
「君はそういうと思ったよ」にウソつけー!!の大合唱でしたが(参照:小次郎TL)
わざわざ明日美を呼び出して待ったのは、そういうことだろうなと、
彼女の中に生まれつつあるものに賭け、
どう答えを出そうがそれに従う覚悟だろうというのは感じ取りました。(ほんまかー!)
ちなみに


ちゅうかいしゃ【仲介者】
1 仲介をする人。
キリスト教で、十字架上の死によって人類の罪を贖(あがな)い、
神との間に立って人類の救済を実現したイエス=キリストをいう。仲保者。

だそうです。去年に続き赦しの仲介をするオダギリ氏であります。
こんな荘厳な裁判が教会で行われている中、
ネクタイで縛られたいだの、おかしな気分になるだの、蹴られたいだの、何かのプレイだの
みなさんは邪念にまみれておりましたね。
悔い改めてください。
それにしても「アンタ最悪だな」という顔は最高でした(おい)


今回のドラマで最もあっと言わせたのは、
ストーリーもさることながら、演じる上野樹里さんとオダギリ氏じゃないかと思います。
ワタクシは大変偏ったオダギリウォッチャーのため、
上野さんの事は一般の方々と同様のイメージしかありませんでしたが、
多くのファンに愛されながらも、真摯に演じることに向き合うあまり、
時には不器用さを感じて悶々としたり、纏わり付くイメージに振り回されたりと
まあその…このお2人のクラスタは、いろいろ気苦労があるかと推察いたします。
しかし今回なんだか不思議な開放感を感じるのであります。
Tomorrow will be a better day.
もっとのびのびと豊かな色に。
これからはたくさんのアリスファンが、
表面に巻き付いたものに惑わされず、
彼らの演じる役を見て下さることでしょう。


明日は父の日。
父の日を迎えられなかったある父親と家族のドラマを思い浮かべつつ、
因縁というものを無理矢理繋いで感じている次第であります。
いきなりのドラマ出演情報に翻弄された4月から2ヶ月半、
ワクワクと金曜日の夜を待つ楽しい2ヶ月半をありがとうございました。