oozy Blog

「小次郎つばめ返し」

大河ドラマ 八重の桜 第5回 『松陰の遺言』

絶体絶命の危機に「尚之助−!!」と呼び捨てるあたり、
制作者はよく分かってらっしゃると思いました。(それが冒頭かよ)
でもって尚之助は敬語。
佐久間象山塾の秀才尚之助と、弟弟子覚馬の精神的優位性が
いつの間にか逆転している事が分かる一言でもあります。
そして八重、嫁のうら、弟の三郎と家族全員が覚馬を護ろうと無意識に協力し合う、
山本家の家族の結びつきの強さがわかるのであります。


寅次郎こと吉田松陰は、黒船に乗り込もうとするシーンもなく、
超有名塾で教え子達を並べて「じゃ、いつやるの?今でしょ!
と机を叩くシーンもなかったため(そんなのありません)、
長台詞を真剣に聞いているとは思えない、うちの歴史音痴の同僚たちにとって、
寅次郎が『なんだか知らないけどずっと牢屋に入ってた人』
という印象で刷り込まれていないかちょっと心配です。


たとえ主君の命を受けたお役目であろうと、命を狙われる非常にきな臭い時代。
お役目と褒賞、損得を天秤に掛ければ、割に合わないリスクの高さ。
井伊直弼といい、覚馬といい、寅次郎といい、多分次回の容保公といい、
自分にとって何の得にもならないリスクを敢えて背負う人たちがいて、
またそれぞれの立場で志を引き継ぐ人たちがいて、150年後の現在に続いていると思うと、
計算は苦手なくせに、損得勘定だけは妙に早いワタクシは、
なんとなく過ごす日々に申し訳なさを感じるのでありました。