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「小次郎つばめ返し」

写真を撮るときに、1メートルずらせばいいだけなのよ

仕事を進めていく時に、少しだけお節介をすることがある。
お顔のしわを目立たないようにしたり、飛び跳ねた髪を直したり、
服の汚れを取ったりする画像補整「レタッチ」がその一つだが、
頼まれてもいないのに、勝手にこちらがやってしまうサービスで、
仕上がり具合に大きな違いは無く、私たちの気持ちの問題というだけである。
時には「本当はこの電線が無ければいいんですけど・・・」とお客様が言っているのを聞いて、
「いいですよ、消してみましょうか。」と大きく手を加えることもあるが、
その辺りはお客様との信頼関係の中で「まあまあ」などと言いつつ、ほぼ無償で行っている。


ところが毎回、植木鉢を消したり、背景に写り混む人影を消したりと
手の掛かる写真補整を頼まれる事業所さんがいらっしゃって、
「今回は山をバックに撮った集合写真の後ろに大きな灰色の機器盤があるじゃないですか、
 あれを消しちゃってください。」と担当さん。
「後ろの山や竹林がどうなっているのか分からないので、
 まったく違和感無く消して背景を復元するのは無理かもしれませんが・・・」とキバコさんが言うと、
「ああ、それじゃダメですね。」と仰るから唖然。
見たこともない風景を間違いなく復元しろと!
結局膨大な時間を掛け、1/4の背景を隠す大きな箱を消した後、
想像しながら山や竹林を植え込んでいったのであった。
人間、「サービス」にはすぐに慣れて「やって当たり前」になるらしい。