oozy Blog

「小次郎つばめ返し」

幸せに暮らしていけますように

娘の幼なじみで、中学を卒業してからは寮のある特別支援学校、いわゆる養護学校へ通っているミホコちゃんが、
学校の実習でうちの印刷所にきて五日目、今日が最終日である。
もともとの顔見知りは私だけだが、子どものままの明るい彼女はすぐに職場に打ち解け、
「ミホコちゃん、目がつぶらで可愛いねえ。」とキバコさんが言えば、
「ええ。学校ではモテますけど。」と至極真面目な顔で答え、職場を沸かせていた。
昼休みに階下から工場長のオカザキくんが上がってきて何気なく、
「お父さんは何の仕事してるの?」とミホコちゃんに聞くと、
「生まれて一度も見たことありません!」
と、先生に聞かれて答えた生徒のように大きな声でニコニコと答え、オカザキくんを固まらせてしまった。
彼女は小さい頃から母親側の祖父母と暮らし、母親とも離ればなれでほとんど一緒に暮らしたことが無いはずだ。
「わたし、電話でお母さんとよく間違えられるんですよ〜。なぜみんな間違えるのかな?」
と首を傾けながら何度も何度も繰り返す顔はとても嬉しそうで、胸が詰まった。