oozy Blog

「小次郎つばめ返し」

[オダギリジョー]「蟲師」2007.4. 8

評判というのは、目を瞑って耳を塞いでも入って来るという事が「ゆれる」で実証済みだし、
特にガードもせず、逆の意味で気負い無く観ることが出来ました。(どんな逆だー)
物語の合間合間に思うことは、
『う〜ん、どこがそんなにダメだって言うんだろう??』と言うことでありました。


私、ちょっと勘違いしていたようです。
監督は映像の最新の技術を駆使して、まだ見たことのない現実離れした異空間のような世界を
「これでもかー!」と見せてくるんだろうと思っていたら、
風景にしても葦原を飛ぶ蟲の大群にしても、特に大げさに作り上げた世界じゃなく、
今日その映画館に行く道中でみた風景と、秋口の夕暮れに畦道で見る光景と変わらなかったのであります。
日頃、田舎だぁー村だーとか言ってますが、
何百年間も変わらない世界遺産のような場所に住んでいるワケじゃないので、
おそらく都会に住んでらっしゃる方々にも懐かしく覚えのある、普通の農村部の風景じゃなかろうかと思います。
監督はありふれた日本の風景や空気をよくご存じの方なんでしょう。
大友監督が「最新テクノロジーでどこまでリアルに再現出来るか試してみたかったのよねー。」
みたいなノリで作ったんじゃなく、とても真面目に原作に誠意をもって作られた映画だと思いました 。
もちろん真面目に作ったら全部大傑作!ってワケじゃないと思いますけど、
こういうマッタリと流れる映画が私は好きなんだとしか言い様がありませんです。


ヌイのエピソードも実はとても好きでした。
ヨキの為にわざと冷たく当たったり、身を挺して逃がしたところでヌイの役目は終わり・・・
となる方が後味は良く、物語的にも美しいと思うのですが、
ヨキを恋うて恋うて、本能だけで相手の都合も考えられないほど求める姿は人間くさく、
切なくなるのでありました。
淡幽とギンコのように相手を思いやりながら見守る愛情もあれば、
ヌイの鬼子母神のような激しい愛情もまた人間だからなのでありましょう。
見る人に一番のハテナ?を残した最後のシーンは、
ギンコが光酒によってヌイの周りに蟲を呼び集め、
蟲によってヌイを癒し、助けようとしているんだろうなと言うことは分かるのですが、
じゃどうやって助けようとしているのかは、正直よく分かりません。
でも大友監督の中では明確な答えがあるんじゃないでしょうか。
(西川監督の時と違ってこの寛容さ)


そして私の一番の大チョンボは、どうにも我慢が出来ず、
ほんの2〜3分トイレに立ってしまったことです。
その数分間に色気数割り増しと言われていた弱ったギンコさんと
淡幽との道行きのシーンが含まれていたのでありました・・・・・。
(なぜいつもこういうオチになるかなー)