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「小次郎つばめ返し」

高寺成紀プロデューサー&オダギリジョーSPトーク

東映チャンネルが仮面ライダークウガを超古代対訳版という
字幕付きで放送するにあたって企画した記念スペシャルトークです。
ひょっとしたら何度も再放送しているかもしれませんが、
初回の時期はおそらく2002年頃じゃないかと思います。
クウガをご覧になった方はご存じだと思いますが、
敵の操るグロンギ語が放送当時かなり話題になりまして、
いろんなサイトで解読合戦が行われておりました。
分からなくても大筋大丈夫でしたが分かればなお楽しめたので、
字幕付きは有り難い企画でした。


と、言うわけで番組共々いろいろな伝説を残した2人が、
放送終了の2年後に再び顔を合わせることになりました。
「ども」
放送時よりちょっとふっくらした高寺Pがペコっと頭を下げると、
ニコニコ…というよりニヤニヤしていたオダギリ氏が
吹き出すように声をあげて笑いつつ、それに応えています。
おそらく個人的には番組終了後何度も会って親交を温めていたものと思われ、
この日も放送直前まで親密に話をしていた様子が伺えます。
「今日、あのー東映チャンネルの方でクウガが放送されるという事になりまして、
 オダギリ君に来てもらいました。
 仮面ライダーを新しくやると言うことでオーディションを大泉で…」
高寺Pの進行で番組はすすみます。
確か主役を決めるオーディションはそれまでに何度も行われ、
主な配役は既に決まっていたけど、肝心の五代雄介役選びが難航していて、
これが最後のオーディションという、ギリギリの時期だったと記憶しています。
「大泉行きましたねえ、ええ。舞台の稽古直後だったので…」
「はいはい、大変疲れてて…」
当時を思い出しつつ、お互い相手の言葉を引き取る2人。
「だって、つつじヶ丘から大泉まで自転車ですよ!1時間くらい!」
同意が欲しさそうにスタッフの方々に視線を移すオダギリ氏。
「珍しいオーディション受ける方だなと。ガーっとウーロン茶をね。」
「パック1リットル持ってね。」
「ねー」で通じてしまう親密さ。
「変わった人がオーディション控え室にいるっていう情報が入ってましたけどね。」
オーディション前からオダギリ氏のゴーイングマイウェイ振りは
スタッフの間で噂になっていたようです。


「運命的にオーディションを受けて頂き、
 五代雄介をオダギリジョーが演じて貰うことになったんですけど…」
いえいえ、はいはいと珍しく行儀の良いオダギリ氏。
「その、仮面ライダーということで既成のビッグネームでもあり、
 イメージも出来てる役をやるにあたり、あの…ぶっちゃけなんですけど…」
こういう場合の「ぶっちゃけ」はぶっちゃけコワイ。
オダギリジョーが役者としてやってきたところとの
 イメージのギャップみたいなものがあったと思うんだけど…。」
ニコニコと穏やかな表情でいきなり槍をまっすぐに突きだしてきましたよ。
「そうですねえ…(真面目に思案中)…って、いきなりぶっちゃけですよねえ!」
さすがのオダギリ氏も槍をよけきれなかったようです。
可笑しくて仕方ないという風に顔を見合わせ、フッフッと笑い会う2人。
仮面ライダー、全然見てないですよねえ?それまで。」
突きだした槍をあっさり引っ込める高寺P。
「そうですねえ。丁度空いてる世代なんですかねえ。」
一条刑事役の葛山さんも見てなかったそうで、
既成のイメージに実感の無かった世代なのかもしれません。


「(クウガは)俳優オダギリジョーの通過点だったと思うんですけど、
 改めて今何か語って頂くことがあれば。」
高寺Pの槍は油断したところで繰り出されます。
「まず、すごく幸せだったと思うのは、1年間長い期間じゃないですか。
 ドラマだと3ヶ月で終わってしまうものを1年間やれる…」
さっきまでのニヤニヤはどこへやら。思いの外真面目なオダギリ氏の表情。
「役に対する思いにしても1年間それを持続させなけれないけないし、
 その分深めさせる事も出来るし、
 雄介っていうのはホントにものすごく近いものになってくるんですね1年もやると。
 だから最終回とかはただそこにいるだけでいい…みたいな、
 演技なんかする必要もないし、他のキャストの方と自然に生まれる空気で
 自然に出てくるセリフでそのままをただフィルムに収めて貰えればいい…みたいな…。」
視線を漂わせ、一つ一つ丁寧に言葉を選んでいくオダギリ氏。
「この間一緒に見直したじゃないですか?」
ちょっと意外な事実にビックリの私。
アカルイミライ天体観測などでいろんな役に挑戦していた2002年の頃、
世間では封印などと言われてましたからねえ。
「それを見ながらホントに幸せな現場だったなと思いましたね。」


ウォーンウォーン(嬉し泣き)………暑苦しくて誠にスマンです。
一緒に番組を作り、揺るぎない信頼で結ばれている高寺さんだからこそ、
隠す必要も構える必要もなく、素直な言葉が引き出せたのかもしれません。
「新たなメディアでこうやって多くの人達に見て貰えるっていうことは
 嬉しいことだと思いますね。」
という高寺さんの言葉にうんうんと何度もうなずくオダギリ氏を見るのは
役者ファンであると共にクウガファンである私にとって、
素直に嬉しくて胸の詰まる事でありました。
おわり