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「小次郎つばめ返し」

オダギリジョーの韓国絵日記 その7

食事後、シンバルと太鼓のような音を聞きつけて、小走りで走り寄るオダギリ氏。
広場で始まったのは「農楽」という韓国で古くから行われている農民達の踊りで、
民族衣装を身につけ、鼓笛隊のように楽器を持った人達が、頭を激しく振りながら
帽子の先に付いた白い帯をクルクルと回して演奏しています。
音に合わせて大股で歩く様子は「農民の踊り」というより「軍隊の行進」のようです。
やがて動きが速さを増し、横倒しにした体を宙で回転させながら首も振り白い帯もなびかせるという、
高度で激しい踊りの迫力に思わず息を詰めるオダギリ氏。
「やっぱりダンスがすごかった。あれで心を奪われたねえ。見て良かった。」
と後で何度も繰り返すオダギリ氏はこの「農楽」に感じるモノがあったようです。


夕暮れ時、民俗村を後にしてオダギリ氏が向かったのは、
またまた友人ギュウヨンさんと待ち合わせている焼肉店。
オダギリ氏の今回の韓国訪問の目的が『韓国を紹介する』というより、
ほぼ『ギュウヨンさんを訪ねて』という個人旅行のような感じになってますが、
いいんですいいんです、オダギリ氏が嬉しければ。(←ホントにファン馬鹿)
「これ、スンゲー旨いよ!」と大皿からサラダを取ってパクリ。
ギュウヨンさんに食べ方を教わりながら韓国風焼き肉を一口でパクリ。
ズラリと並んだ総菜を自分のご飯に寄せ集めて作ったビビンバをパクリ。
ホントによく食べますねえ!!
この番組の半分くらい食べてる映像かも知れません。
おいしい?みたいな顔で横から心配そうに覗き込むギュウヨンさんと
「旨いよ!」とうなずくオダギリ氏は、まるっきり姉弟。
女性3人+サンチュ君、5人で大笑いしつつ食事する画は、
あまり見ることの出来ないオダギリ氏の普段の様子を垣間見られる貴重で嬉しい映像でした。


オレンジ色にライトアップされたソウルタワーに着いた一行。
ちょっと酔っぱらい気味なオダギリ氏はいつもよりハイテンションで
何を見ても「スゲーな!」を連発。
「三日間、ソウルのいろいろな所をいろいろな方のお陰で回れたわけですけども・・・」
タワーから見えるソウルの夜景をバックに、締めるところは締めますオダギリ氏。
「ボクが単純に感じたのはソウルのパワーみたいな・・・・・・ものすごいパワフルな感じ・・・・・・・」
『みたいな・・・感じ・・・』の後は、どしたー!!??やっぱ少し酔いが残っているのか!?
「一番良かったのは『農楽』という踊り。あの農民達の苦しみとか怒りみたいなものをすごく感じて。
 踊ってる人は無表情な顔をしてんだけど、身分の上の人達から押さえつけられてる苦しみとか、
 あの〜飛んでクルクルさ、なるような踊りに繋がってる様な気が無意識に来て、
 すごく重いモノに感じましたね。」
オダギリ氏は『苦しみ、怒り』などマイナーな感情の波動に共鳴しやすいのかもしれません。
言葉を探して途切れ途切れだけど、いつもオダギリ氏の言葉はどこからかもってきたんじゃなく、
彼自身から発せらたものです。
「韓国もいろんな歴史があるじゃないですか。すごいアーティスティックな街なのに、
 他の民族から攻められることが多いというのが韓国の悲劇なのかなと、そう思いました。」


明けて、おそらく空港前。
「今の韓国がどうなってるのか歩いて肌で感じ、民俗村で韓国の過去を見、
 ワールドカップスタジアムで韓国の未来を見た、それを今回は一つの絵にしてみました。」
最終目的の一枚の絵はA4くらいのサイズのキャンパスに、
ヘラで押しつけたような鮮やかな赤の下地、その上に踊る数本の白い帯、
題は『チンチャ ソウル』。抽象化されているけど、まさしくあの「農楽」でした。
「すごく元気いっぱいで情熱的な国、韓国を肌で感じたら、この絵になりました!」
「農楽」に苦しみと怒りを感じたと言いつつも、それをイメージして出来上がった絵は
エネルギッシュで活力に満ちた、とても明るく希望的なものに仕上がり、
この国の未来がそうあって欲しいと願っているように見えました。
「今度は十日間くらいゆっくり滞在して、韓国への理解を深めたい」と言っていたオダギリ氏。
演技が認められるようになるにつれ、韓国でも知られるようになりましたが、あれから4年。
今は難しくても、いつかまた友人達とこの国を気の向くまま好きなところへ出掛けることが
出来たらいいなと思う1ファンでございました。
終わり。