oozy Blog

「小次郎つばめ返し」

THE 有頂天ホテル

(※ネタバレ大いに有り)ちょっと開けます。





とにかく可笑しくて可笑しくて。
今までも笑いすぎて目に涙が溜まることはありましたけど、
笑いすぎて涙が頬を伝ったのは初めてでした。
特に副支配人新堂(役所広司)が勘違い暴走スピーチをしているシーンにおいて
マネージャー矢部(戸田恵子)の新堂の元妻(原田美恵子)を見つめるなんとも気の毒そうな目には堪えきれず、
とうとう横向きに体をよじって笑ってしまい、ホントに後ろの人ゴメンナサイです。
演じる俳優さんは皆1つの映画に1人出れば締まるという主役級ばかり。
しかも予告などを見る限りセリフは多いしドタバタしてるし、
演技やストーリーが鼻につく感じだったらどうしようと思ってましたが余計な心配でした。


汚職国会議員佐藤浩市)のストーリー、夢を諦めようとするベルボーイ(香取慎吾)のストーリー、
コールガール(篠原涼子)から自分の恥ずかしい画像を取り上げたい受賞者(角野卓造)のストーリーなど
大きな物語の柱が何本もあって、それぞれのストーリーにアクの強い主役がいて、
それなのに一人一人突出し過ぎてる感じがないのは何故なんでしょうねえ。
俳優さん達がみな楽しんで演じてるというのもあるけれど、
「この映画のために」が最優先にあり、「自分がいかに目立つか」などの
演じる人のエゴ(誰の言葉だったか?)が見えないからかもしれません。
ただちょっと違和感を感じたのはウェイターの丹下(川平慈英)。
少ない出番でもその役の人となりがセリフや表情から感じられる中、
このウェイターはセリフも出番も多い方なのに、
「明るい」のか「暗い」のか「真面目」なのか「軽い」のか「誠実」なのか「不誠実」なのか、
見終わった今でも私の中では人物像がモヤモヤしてます。


あの〜・・・・・・・・・・大変な勘違い野郎と思われるかもしれませんが、
私が一番ウワ〜〜ッときたのはラストシーンに向けて収束されていく爽快な様子ではなく、
筆耕係の右近(オダギリジョー)が
新堂に「書き上げた書にサインを」と言われて
「私は書道家ではありません。これが書けただけで満足なのです。」(←あくまで意訳)
と断ったセリフを聞いた時でございました。
三谷さんは当て書きの人だと伺ってます。
だとしたら三谷さんのオダギリ氏に対する認識は
「映画に関わり、映画の為に役立とうとする職人気質の人だ。」ということなのかなと。
前の大河も黙々と仕事をこなす斎藤一でした。
この純粋で真面目、プライドの高いセリフをオダギリ氏に言わせてくれたことへ
胸をいっぱいにしながら勝手に感激しております。


しかしオダギリ氏は不思議な人ですねえ。
役によっては俳優さんのイメージまで変わってしまったりすることが多いんですが、
オダギリ氏はどんなに役を演じても、役を離れた本人のイメージが下がったり変わったりすることはないようです。
例えば味噌や醤油や豆腐やおからといろいろに形、味を変えても元の大豆の評価が変わらないのと同じか。
・・・・・・・・いや、やっぱちょっと違いますね。へへ。
でも次ぎに大豆がどんな旨い物に変化するのか、1ファンとしてはそれも毎回楽しみでなのでございます。
う〜〜ん書き終わってみると、やっぱり映画の感想と言うより、
自分でも呆れるほどオダギリ氏への偏った感想になりました。