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「小次郎つばめ返し」

[新選組!]第48回「流山」

うん、まあ・・・書き出しが難しいですな、最近。
私が始めて新選組と出会ったのは本当に何気なく手に取った司馬遼太郎の「燃えよ剣」でして、
それ以降、高校の図書館に置いてあったその本のカードには私の名前ばかり記されてましたが、
激しく心を揺さぶられたのは土方さんであって、あまり近藤勇という人物に思い入れがなかったんですよ。
近藤さんだけじゃなく源さんや原田さん、永倉さんたちにも無かった、多分。
それはその後他の小説を読んでもそうだったし、映画を観ても変わらなかったんですけど
土方さんと深く関わってくる(物語上)という理由で斎藤さんや沖田さんなどに少し興味があっても
それは「土方さん」の存在が前提でして。
贔屓の隊士がいて、「新選組」や「他の隊士達」「時代」までもがその隊士に付随する、
またはドラマチックな人生になるための背景のようなものになってたんですねぇ。
この大河ではその「背景」だった人々が、具体的に「人物」として目の前に現れたという感じです。
いや、贔屓隊士はいますけど、その人物抜きでも一人一人が成り立っているというか。
お気に入りの登場人物のところだけ拾い読み・・・・・がなくなったっていうか。
えーーーい!難しい!要するにこの「新選組」は三谷さんの狙い通り、
私の中では「新選組」の決定版になりつつあるということです。
といっても贔屓多めの感想になることはお許し下さい。


まずはその贔屓筋から
「いつごろ死ぬんだ?」ってアナタ!!!!!!!!!!!!!!
ドラマで死期の近い人に向かってこんな事言う人初めて見ました!
あの沖田さんが「えっ!?」ってな具合でリアクションに困っているじゃないですか。(あのってなんだ!?)
親代わりの近藤さんでさえ直接的な会話は避け、オブラートに包んで遠回しに遠回しに励ましているのに。
また私の頭の中で別の物語が同時進行しておりますが、
『また見舞いに来たい!』→『でも来るのが手遅れになったらいやだな』→『いつ来ようか』→
『本人に聞いてみよう』→「いつごろ死ぬんだ?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・いや、これじゃ何のフォローにもなってない・・・・。
不器用なら不器用で黙ってそばに座ってるだけにしてればいいんですけど、
聞かずにはいられなかったんですねえ、必ず会うために。(会いたいがゆえに)
不器用ゆえに発せられるストレートな言葉と無邪気なゆえに発せられる遠慮のない言葉が
お互いを癒していたのでしょうか?
こうして並べてみると相反しているようでとても似通った2人です。


冒頭幹部会議・・・・・・・に出るしかない斎藤さん。もう会議の体はなしてませんけど。
「解散・・・」→→→斎藤さん←←←「もう一度旗揚げ・・・」
と、注目を浴びることに慣れてない斎藤さんは非常に居心地の悪い思いをしているようです。
「胸に突き刺さった(局長)」純粋
「涙が出そうでした(島田君)」感動
「おれも見たかったな(副長)」いじわる←ここでキレるべきでした。
「あんなに熱い男だったとは(尾形さん)」驚き
他のダレにも文句を言えず思わず尾形さんに八つ当たりする斎藤さんですが
その後尾形さんがオズオズ様子を伺う姿に故平山氏の姿を重ね合わせました。


ぎゃっ!またしても捨助!万事休す!!!
・・・おい・・ぎょふんって?ぎょふんって??・・・やめれ、やめれ・・もうしゃべるな!・・・
少々頭が混乱してきたですよ。
いやもうこの後、間違いなく近藤さんは投降するんですけど、
ひょっとしたら・・・って変な希望が湧いたりするじゃないですか。
「ハラハラした〜?」捨助、ホントにいけすかんヤツです!
緊張が解けホッとしたときに事故が起こりやすい・・・とは教習所の先生のお言葉。
スキができるんですね。
このホッとした瞬間に話を切り出す有馬さんは案外賢い。
有馬さんと背中合わせで語る近藤さんの言葉を目を見開いて聞く隊士達。
・・・の中に今までにない真摯な目の捨助。胸が急にグッときました。
ホントにいけすかんヤツです!


斎藤さんの出番が飛んでいってしまいそうな場面が最後の近藤さんと加納さんのシーンです。
ベルバラで民衆の暴動を鎮めようとアントワネットがバルコニーに出たとき
あまりの美しさと神々しさに思わず民衆が
「アントワネット様バンザイ!フランス万歳!」と叫んでしまったあの場面を思い出しました。
などと茶化していいシーンじゃありませんが、
憎いはずの近藤さんを前にどうしても正体をばらすことができず、
かといって「違います」とも言えない加納さんを庇うように声を掛けてきた局長。
思わず平状してしまった加納さんと全てを受け入れ微笑む局長の静かで美しい場面でした。
うん、やっぱり近藤さんが主役だな。
イラストは後日です。