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「小次郎つばめ返し」

重版出来! 第10話

五百旗頭さんと高畑先生が一緒に作り上げたバイブスの「ツノひめさま」か、
五百旗頭さんと井上先生がかつて組んで世に出そうとした「ヒッチポッチ」か!?
で結局、五百旗頭さん担当の三蔵山先生の「ドラゴン急流」が受賞!!
ということは、
五百旗頭敬vs五百旗頭敬で、Winner五百旗頭敬!ということですな(ちょっと違)

http://www.tbs.co.jp/juhan-shuttai/story/ep10.html

まだ見えない魚影、しかし確かに感じる何か、静かな海面の上に群れる海鳥。
ピーブ連載開始、バイブス編集部一同は頬を紅潮させ腕組みをして
沖を睨む猟師のようであります。
町のざわつき、拡がる驚き、沈黙を破って一気に押し寄せる反応。
にしんが来たぞ−!みたいな。
このにしんが大群でやってくるまでの運びがもう見事で見事で!
ブルブルと身震いいたしました。

外の騒ぎが大きくなるにつれ、自分自身の中へ深く潜り込み、
海底に沈んでいくような中田伯。
外のうねりや歓声が聞こえていないのは、
窓やドアを全て閉めているせいだけでは無さそうです。
牛露田先生や絹ちゃんもしかり。
重版出来は元気の出るドラマだけど、
決して影の部分を明るい色で塗り隠したりはしないのであります。

「みんな中田さんの為なんですよ!」
中田伯でなくても思春期に耳にして誰もが反発を覚えた言葉。
それを主人公が感情的に言っちゃう。
心に説教する人もいなければ、ありがたいお言葉をくれる人もいない。
登場人物は五百旗頭さんのように
自分で正しい道を選んで行けるように模索するのであります。
心は自ら窓を開けた中田伯と大小の波の中を共に進んでいくでしょうし、
五百旗頭さんは三蔵山さんと未知の冒険へと出発、
沼さんは嫁さんと新しい生活を築いていく、
重版出来は何かがドカンと解決されてお終いというワケではなく、
ドラマの最後に示されたように彼らの日常にゴールはなく続いていきます。
このドラマの世界は、私たちの日常の延長上にあるように感じます。

「黒沢さんの目標なら叶えてあげたい」と聞いた時の心ちゃんの驚きで固まった顔、
書店ではじめて反応を目の当たりにした中田伯の鍵がカチッと開いたような表情、
絹ちゃんが安井さんと顔を合わせたときの一瞬ピンと張った空気、
三蔵山先生の言葉に、我を忘れて大きな拍手を始めるクール五百旗頭さんの眼差し、
本当に役者のみなさんも見事としか言いようがありません。
(さっきから見事しか言ってない)

三蔵山先生の言う1個のオニギリ。
作品をオニギリに例えれば、
使われた水の様に普通は気付かない制作者サイドの情熱と愛情が、
今回はビシビシと伝わってきました。
発信者と受け手から愛された重版出来!というドラマと登場人物たちに
出来ればまた会いたいと願うばかりです。

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重版出来! 第9話

「彼らの上に幸運を 努力と苦しみに見合うだけの成功を」五百旗頭敬
いつもより高めの温かく誠実な言葉。

http://www.tbs.co.jp/juhan-shuttai/story/ep9.html

発した人の内側から出てきた言葉だと感じたとき、
ハッと息を詰めるほどに心を揺さぶられます。

中田伯(永山絢斗)がイメージを形に出来ず藻掻いているシーンに被った言葉。
けれど五百旗頭さん(オダギリジョー)の言葉は、
中田伯だけに向けられたものではなく、
年齢による身体の変化に気付かず苦しんだ三蔵山先生(小日向文世)、
読者と自分との感覚のギャップに孤独感を強めたメロンヌ先生(要潤)、
自分と向き合って答えを出し別の道を歩き始めた沼さん(ムロツヨシ)、
本来の夢と自分を見失って沈みかけた新人漫画家(高月彩良)、
彼らを支える編集者や営業部。
五百旗頭さんが相手のことを思って自ら手を離した人たち、
この言葉はそんな人たちに向けられた、
五百旗頭さんの願いであり祈りなのでしょう。

しかし大切な人たちに伝わってなかった。
いやひょっとして伝わっていたかもしれないけど、
それでも止められない恋愛のように、
五百旗頭さんに我が侭に引き留めて欲しかった。
ヒッチポッチの井上先生は今でも五百旗頭さんと組んでやれていたらと
ifの今に未練があるのでしょう。

「正直自分のやりたかった事かと言えば違う。
 でも自分でも描けるとは思っていなかった物が描けている」高畑一寸
そんな風に理想と違う今の自分を肯定した言葉を聞いたことが無かった。
「生きてて良かった生まれてきて良かった」中田伯
文字にすればベタすぎる言葉も
中田伯の過酷な過去を十分に想像させる。
五百旗頭敬、高畑一寸、中田伯という人から真に出た言葉だと思わせる説得力。
ドラマがスタートしてわずか9回。
脚本の積み重ねの妙にシミジミと感じ入るのであります。

TLで絶賛されている告白シーンの刻々と変わりゆく少年のような表情も
日本の四季の移り変わりのように趣がありますが、
三蔵山先生から中田伯の幼少時代の話しを聞く五百旗頭さんの、
衝撃で少しつりあがった目、固まった表情にもやられました。

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せん‐い【遷移】
 1 移り変わること。移り変わり。
 2 一定の地域の植物群落が、それ自身の作り出す環境の推移によって
  他の種類へと交代し、最終的には安定した極相へと変化していくこと。
 3 量子力学で、ある定常状態から、ある確率で他の定常状態へ移ること。
  その際にエネルギーの授受が起こり、光子などの粒子を放出または吸収する。転移。

きょく‐そう〔‐サウ〕【極相】
生物群集、特に植物群落が、遷移の過程を経て、その地域の環境に適合する、
長期にわたって安定な構成をもつ群集に到達したときの状態。クライマックス。安定期。

web拍手メッセージへの返信です

>どうもどうもいつもありがとうございます!
 初期設定のままでして。
 今コメント承認制にいたしました!のつもりです(これでいいのかどうか…)
 十数年のユーザーなのによく分かって無いんですよ。
 アドバイス頂き、非常に有り難いです!

 

と書いて気付いたけど、5月30日はブログ12周年でした。

重版出来! 第8話

万年床で牛露田(後田)(康すおん)が紙に向かっていたとき、
希望が見えたような気がして一瞬弾んだのであります。
それだけにペン先のぶるぶる震えた線がショックでショックで。
後田父は漫画への情熱を忘れていたわけじゃなく、
気持ちはずっと漫画に向かっていたんですねえ。

http://www.tbs.co.jp/juhan-shuttai/story/ep8.html

後田父は漫画と自分が妻の死を早めたと悔い、
アユちゃん(蒔田彩珠)は父親と漫画のせいで母親の人生は不幸だったと恨み、
2人にとって大切な人の存在が大きすぎて、互いの顔が見えなかったようです。
背広を着て、かつてそこで先生と呼ばれた大きな出版社で、
漫画家として絶望的な姿を見せながらも契約を済ませた父は、
「バッチリ決めてきたぞ」と精一杯かっこつけて娘に言いました。大人だから。
14歳はもう分かってる、希望も悲哀も困難も愛情も。
精一杯の父親をかっこいいと思ってくれればいいな。

河さん(濱田マリ)にとって特別な作品が『100万オトメバイブル』、
中田伯くん(永山絢斗)にとって特別な作品は
沼さん(ムロツヨシ)のネームのようです。
初めて感じた嫉妬や戸惑いや焦り。
中田伯くんは空っぽの引き出しを、今ギュウギュウにしているところです。

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ジャンルに限らず、誰にでも自分だけのバイブルのような作品があります。
今もひょっとしたら生み出された作品が、
知らない誰かの人生に寄り添っているかもしれない。
そんな仕事ってなかなか無いんじゃないかなと思います。
だからどんなに時代や価値観が変わっても、
リエーターさんたちには大切な作品に向けられた1人のナイフのような言葉より、
100人の声援を信じて欲しいと思いました。

重版出来! 第7話

「いままで本気で闘わないまま来てしまいました。」
あちこちから「それはわたしだー!」と木霊した(ように感じた)火曜日のTL上。

http://www.tbs.co.jp/juhan-shuttai/story/ep7.html

才能は才能を見抜く。
絵が下手すぎて世間を騒がせた中田伯を
最初から怖れていた沼さん(ムロツヨシ)にも実力があったはず。
漫画に関しては誰も認めなかった中田伯が
唯一認めた漫画が沼さんのネームであります。
なぜ沼さんの漫画が読む人に伝わらなかったのか。
沼さんがそれに気付いた今、もう一度本気で闘って欲しかったと思うけど、
自分の認める才能(中田伯)が自分を認めてくれたことに
満足してしまったのかもしれません。
人が必死で考えて出した答えを他人は受け入れるしかない。
思いを飲み込む五百旗頭さんの横顔を見て思うのでありました。

頑張れば絵が上手くなる、頑張れば報われる、
そんな都合の良い展開はなく、
打ち切りになる漫画家、いつまでもデビューできないアシスタント、
新人は振り回されストレスでダウン寸前、
一度成功した作家の落ちぶれた現状、
どうすれば良いか結論も正解もありません。
「作品を作ると言う事は、醜くても情けなくても自分と向き合わなければならない」
このドラマは三倉山先生が言うように、
常に物を作り出している制作者さんたちが、
自分自身と向き合い問うているのかもしれません。

と言うことで穏やかな気持ちで私も向き合ってみました。
本気で闘って来なかった理由として、
期待に添えられなくてガッカリされたくないし自分もガッカリしたくない、
かっこ悪い自分を見られたくないという最初から負け戦想定、
そのため、いつかは闘うけど今はその時ではないと理由を付けて回避。
いつまでも「やれば出来る子」という希望を
自分の中に残しておきたいからだろうなという結論に達しました。
お、おぅ…

〜〜〜〜〜余談〜〜〜〜〜
「どんな漫画家になって欲しいですか?」と問う心ちゃん。
「どんな俳優になりたいですか?」と言う問いに
ただ「良い俳優」と答えた俳優さんがいたことを思い出しました。
「有名な先輩俳優の名」でも「演技の巧い俳優」でもなく「良い俳優」。
当時、言葉足らずだと感じた答えの意味を、
十何年経ってようやく分かるワタクシであります。

重版出来! 第6話

漫画家という職業に就きたいから漫画家になるのではなくて、
漫画を描く仕事だから「漫画家になりたいんだ」
と言うことに気付いた東江絹ちゃん。
いつの間にか大好きな漫画を描くことよりも
漫画家になる事が目的になっていたようです。

http://www.tbs.co.jp/juhan-shuttai/story/ep6.html

安井さん(安田顕)に食ってかかる心(黒木華)は、
説得しようとか改心させようとかじゃなく、
ただただ腹を立て、納得出来なくて怒っている。
ドラマ終盤、安井さんはライフスタイルを変えることなく今までの安井さんだし、
東江さんも転じて大チャンスが巡ってくるワケでなく、
中田伯(永山絢斗)は何度描き直ししても一足飛びには上手くならない。
今までのドラマのように主人公と関わることで何かが劇的に変わる事も、
主人公が導いたり人の人生を振り回す事も無い。
だから重版出来の登場人物は、
心の懸命さを見て思う事や影響される事はあるけど、
東江絹ちゃんのように、そこからどうするのかは自分で決めている。
このドラマはその塩梅がとてもいいのであります。

理想だけで仕事が出来る人は、この世にどれだけいるのだろう。
いい作品を作る事だけに向き合える人はどれだけ幸せだろう。

いろんな登場人物の顔が写し出され、被る言葉は、
俳優さんや、ドラマ制作者、視聴者みんなに向けられた言葉のように思えます。
でも誰もが持っている理想は、同じ方向を向いているわけではなく、
自分の思い込んでいる「理想」「いい作品」よりも
互いの理想がぶつかり、競い、削りあうからこそ、
自分が想像の付かないものが作れる事もあるんじゃないかと思います。

イラストは後日です。

〜〜〜〜〜余談〜〜〜〜〜
ワタクシたちは日本一「数字」に悩まされているクラスタかもしれません。
しかしこのドラマは、まったく数字の推移が気にならないのであります。
熱意、興奮、この作品が制作者さんたちに大切にされ愛されているということに、
とても安心しています。

web拍手メッセージへの返信です

>誠に誠に、いつもご心配をお掛けしております!
 計算書というと領収書のようなもので?
 残高と手数料、消費税の入った領収書のようなものは頂きました。
 銀行のような堅いところはちゃんとやっているという思い込みが…。
 今回は担保の一部所有者の義父が亡くなって1年半過ぎていたのに
 書類の書き換えがなされてなかったからかなと思ったり、
 銀行の怠慢かなと思ったり、自分が詳しく無いので、
 未だにどっちなのかよく分かっておりませんです。
 どちらにしても私の中での信用は落ちたので、
 メインバンクでしたが、いろんな引き落としや振り込みも
 郵便局などで行うようになりました。